高級品部門に重要な環境上の理由

BMW Hydrogen 7 – 世界初の水素駆動高級車 –  がロサンゼルス国際オートショーで展示されました。

BMW Hydrogen 7

未来の輸送についての話し合いや車の動力を与える方法は、今日ではあちこちで耳にします。こうした話し合いでは、燃料電池や水素が大きな影響力を持っています。

BMW Hydrogen 7は、既存のエンジン技術や管理によっても車を商用エンジンと水素で走らすことが可能であることを証明しています。BMWは、新しい水素自動車のベースに7シリーズ12気筒の車を使用しました。

このプロジェクトでは、スウェップ社は自動車輸送の未来を設計する上で積極的な役割を果たしました。当社の B5 BPHE は新しいエンジン管理の不可欠な部分となっています。


液体水素

BMWの水素ソリューションの主な課題は水素の保管と輸送でした。なぜならその特定の能力は既存のガソリンより低いためです。
ドイツのスウェップ社のアプリケーション管理マネージャー兼技術マネージャーである Björn Felgenhauer は、2つの異なるアプローチが現在あり、一つは高圧ガス(700バール)で、もう一つは液体水素であると語ります。BMWは液体水素(-253°C)を使用することに決定しました。これは真空の隔離されたタンク内に保存されます。液体水素を使用できるようにするためには、これを蒸発させ、バルブやセンサーの不具合を防止するため凍結点を超える温度に加熱する必要があります。
「これを達成するには、熱交換器がエンジン管理において重要な役割を果たします、そして、これはプロジェクトの成功の可否を決める重要な要因です」と、Felgenhauer は語ります。
「安全への要求も非常に高いものです。この水素自動車は自動車事業としてはかなり新しいもので、-253°Cといった非常な低温で機能する材料の認可など多くの証明が必要となります。さらに、使用材料が水素に適したものかを確認する必要もあります。」
最終的に、BMWはスウェップ社のB5 モデルを使用することに決定しました。これはまた IMDS (International Materials Data System) データベースにおける自動車事業で認可されており、BPHEユニットは世界中の自動車メーカーによる使用が可能です。
「使用対象のあらゆるコンポーネントについての自動車産業の特定要件により、BMWが抜群の能力を持つパートナーを探さなくてはなりませんでした」と、Felgenhauer は説明します。「BMW の提携先はまた、オートモーティブシリアル標準に要求される産業規模での高品質製品を製造する能力を備えている必要があります。熱交換器は水システムと水素とのリンクとなるため、100%信頼できなくてはなりません。

温度の問題

このプロジェクトの主な問題は温度アプローチに対処することでした。加熱サイクルと水素側との温度差は非常なストレスと張力をプレートに与えます。 
「温度ストレスとは別に、振動もプレート式熱交換器が路上で寿命を永らえることをほぼ不可能にするものでした。プレート式熱交換器の集中的な流体ダイナミックシミュレーションとFEM(有限要素法)の研究を行った後、私たちはソリューションを見つけました」と、Felgenhauerは語ります。「分配と出口を多少変更するだけで、極端な温度差に対処できることから、新しいBMWの車にスウェップ社の熱交換器が使えることになりました。」      

BMW Hydrogen 7

BMW Hydrogen 7 は限定シリーズで建造され、当初は選ばれたユーザーのみが運転します。Hydrogen 7 は、BMW の 7 シリーズモデルに基づいており、水素またはガソリンのどちらでも運転できる内燃エンジンを搭載しています。BMW グループは、BMW Hydrogen 7 により持続可能な移動手段の道標を敷いています。BMWによれば、この車は水素技術を前進させる上で先駆的な役割を果たすことになります。

水素技術は個人輸送により生み出される排出量を劇的に削減し、特にCO2の排出を最低限に抑えます。水素モードで運転している BMW Hydrogen 7 は、基本的に水蒸気だけしか排出しません。

非水素の BMW 7シリーズのすべての快適感と設備を兼ね揃えた BMW Hydrogen 7 は、9.5秒で時速0から100キロまで加速する191 kW の12気筒のエンジンにより駆動されます。トップスピードは電気的に時速230キロに制限されています。

スウェップ社のBMW向けB5 ソリューション

スウェップ社は B5 Back-to-back(BPHE構造の一種)ソリューションで始めました。これは液体水素を最初のパスで蒸発させ、二次プレートパッケージで過熱させます。必要な熱はエンジンの冷却サイクルから回収します。
「蒸発器と過熱部分の分離が問題のソリューションでした。液体から気体へと状態が変化することで体積が増加しますが、これは自動車用途でのスペースと重量の制約を考慮に入れると、普通のプレート式熱交換器において求められる能力では達成が不可能です。「Back-to backの概念を使用することで、私たちは200kWのエンジンを運転するのに26プレート(1.9kg)のみでこの要件を満たすことができました。」

International Material Data System

IMDSは自動車業界の材料データシステムです。これは当初から Audi、BMW、DaimlerChrysler、Ford、Opel、Porsche、VW、および Volvo の共同で事業としてスタートしました。その後、他の自動車メーカーもこのコミュニティに参加し、現在もIMDSへの参加に関する話し合いが他のメーカーと持たれています。IMDSでは、自動車メーカーが使用するあらゆる材料が保存され、維持されます。こうすることで自動車メーカーや、そのサプライヤーに課される国内および国際基準、法律、規制上の義務を果たすことが可能になります。